外科・移植外科概略
当科の紹介
当科の特徴は慢性腎不全に関連した外科手術が約1/2を占めているという事です。特に腎移植は1976年以来600例以上の症例数をもち日本でも有数の施設となっております。このため、一般に取り扱う疾患が片寄っていると思われがちですが、3/4はいわゆる一般外科、血管外科の疾患です。
以下に主な疾患に対する当科の治療方針を簡単に御説明致します。
- 一般・消化器科外科
日本外科学会および日本消化器外科専門医、指導医を中心として、幅広く対応しております。また、他院で適応外と判断された「腎不全」患者様に対しても積極的に外科治療を行っており、経験も豊富ですので、安心してお任せ頂けると思います。
- 食道外科
食道癌が中心です。関連施設である東北大学移植再建内視鏡外科(旧第二外科)と連携して、手術を中心とした治療を行っています。年間症例数は4〜5例と少数ですが、食道専門施設と遜色のない手術成績を納めています。
- 胃外科
胃癌手術がほとんどを占めます。「胃癌治療ガイドライン」に則った治療を行っており、進行度に応じた「縮小手術」「拡大手術」も積極的に取り入れています。良性疾患としては粘膜下腫瘍や胃十二指腸潰瘍穿孔による腹膜炎を扱っていますが、適応があれば「腹腔鏡下手術(⇒内視鏡外科手術)」も積極的に取り入れています。
- 大腸外科
大腸癌手術がほとんどを占めます。進行大腸癌、転移性大腸癌に対しても、可能な限り外科的切除に取り組み、常に根治をめざした治療を心がけております。また大腸穿孔による腹膜炎、特に重篤な敗血症に陥った患者様に対しても、当院の得意分野のひとつである「血液浄化療法」を積極的に併用しており、救命率が高いのも当科の自慢のひとつです。
- 肝臓外科
生体肝移植に熟練した外科医3名を中心に、原発性肝癌や転移性肝癌の外科治療を積極的に行っております。原発性肝癌は、基礎疾患として慢性肝炎や肝硬変を合併している場合がほとんどですので、肝癌の状態のみならず肝機能を綿密に評価して、最も適切な治療法を選択、実行しております。転移性肝癌に対しましては、特に大腸癌の転移では、動注抗癌剤療法を組み合わせることによって可能な限り根治をめざした治療を行っております。
- 膵臓・胆道外科
胆石症がほとんどですが、膵臓癌および胆嚢・胆管癌にも積極的に取り組んでおります。
- 内視鏡外科
熟練した内視鏡外科医を中心に、胆石症はほぼ全例に腹腔鏡下手術を行っており、術後3〜4日といった早期退院が実現しております。最近早期大腸癌および胃癌に対しても腹腔鏡下手術を取り入れており、術後 Quality of Life の向上に充分寄与しております。その他、急性虫垂炎、副腎腫瘍、脾臓摘出術などにも腹腔鏡下手術を積極的に取り入れております。また、胸腔鏡下手術も、自然気胸のみならず、転移性肺癌に対しても適応に応じて積極的に行なっております。食道癌手術も東北大学移植再建内視鏡外科との連携のもと、当科で行なうことは充分可能であり、実績もあります。
- 乳腺外科
健診センターでの乳癌検診から治療までを一貫して行っているのが特徴です。手術は、最近増加傾向にある「乳腺部分切除」も、患者様の要望にしたがって行っております。
- 内分泌外科
当院が腎不全合併症例の外科を多数手がけている関係上、二次性副甲状腺機能亢進症手術を多数行なっております。甲状腺に関しましても癌に対する手術を中心に、それ以外の内科的疾患(バセドー病、橋本病など)に対しましても多数の患者様の治療を行っております。
- 腎移植
1976年から始めた腎移植は昨年500例を越え、日本有数の腎移植センターとして認知さてております。献腎移植、親子兄弟姉妹間での腎移植はもとより、夫婦間での腎移植も行っております。さらに近年の免疫抑制法の進歩により、血液型の合わないABO不適合移植も積極的に行っております。
- 血管外科
通常の血管外科として主に腹部大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症、下肢静脈瘤の治療を行っております。破裂性の腹部大動脈瘤も積極的に受け入れ、治療にあたっています。
また当院の特徴である慢性腎不全血液透析症例の内シャントトラブル、あるいは種々の血管の手術も行っております。慢性腎不全の患者さんは高頻度に血管病変を伴っていることを考えると貴重な役割を果たしていると言えます。
- 救急体制
救急疾患は腎不全に絡むものが多いのが特徴です。腎不全患者の急性腹症、重篤な外科的疾患に伴って発症した急性腎不全あるいは多臓器不全となった症例などを扱い、いわば三次救急的な業務を主体としてきました。また近隣の医療機関からの紹介に対しても積極的に対応してきましたが、今後さらに地域医療貢献を目指し救急の体制も整えていく予定です。

各担当医師紹介
- 天田 憲利 (副院長)
- 出身校
- 東北大学医学部(昭和56年卒)
- 専門領域
- 移植外科、一般外科
- 認定医/専門医
- 日本外科学会指導医・専門医、日本消化器外科学会認定医、日本臨床腎移植学会腎移植認定医、ICD(インフェクション・コントロール・ドクター)、検診マンモグラフィ読影認定医、麻酔科標榜医、日本移植学会評議員、日本臨床腎移植学会評議員
- 趣味
- 園芸、発酵学
- 一言
- 全てのスタッフが、思いやりの心と広く一般外科領域の知識や技術に基づいたそれぞれの専門領域を持って診療に当たっています
- 大江 洋文 (外科主任部長)
- 出身校
- 東北大学医学部(昭和59年卒)
- 専門領域
- 消化器外科、一般外科
- 認定医/専門医
- 日本消化器外科学会認定医、日本外科学会専門医、検診マンモグラフィ読影認定医
- 趣味
- そぞろ歩き、ひきこもり、暗黒音楽
- 一言
- 人生ゆとりが肝腎だね
- 菊地 廣行 (移植外科主任部長)
- 出身校
- 東北大学医学部(昭和62年卒)
- 専門領域
- 移植外科・臓器不全外科・甲状腺外科(内分泌)
- 認定医/専門医
- 日本外科学会専門医、日本移植学会評議員、日本甲状腺外科学会評議員、日本臨床腎移植学会腎移植認定医、検診マンモグラフィ読影認定医
- 趣味
- 本のななめ読み、人間観察、B級グルメ
- 一言
- 独立自尊
- 佐々木 茂 (創傷ケアセンター長兼血管外科主任部長)
- 出身校
- 東北大学医学部(昭和63年卒)
- 専門領域
- 血管外科、一般外科
- 趣味
- 釣り全般、バンド演奏、すずめ踊り・お囃子
- 一言
- 患者様と正面から向き合う診療を目指しています
- 福森 龍也 (外科部長)
- 出身校
- 東北大学医学部(昭和63年卒)
- 専門領域
- 移植外科、一般外科
- 認定医/専門医
- 日本外科学会指導医・専門医、検診マンモグラフィ読影認定医
- 趣味
- 阪神ファン、最近は楽天に浮気している
- 一言
- 笑顔を絶やさないよう心掛けています
- 芳賀 泉 (外科部長)
- 出身校
- 東北大学医学部(平成2年卒)
- 専門領域
- 移植外科、一般外科
- 認定医/専門医
- 日本外科学会専門医、検診マンモグラフィ読影認定医、日本臨床腎移植学会腎移植認定医
- 趣味
- 温泉巡り、ラーメン店巡り
- 一言
- 多様なニーズにお応え致します
- 高山 哲郎 (外科医長)
- 出身校
- 東北大学医学部(平成7年卒)
- 専門領域
- 内視鏡外科、消化器外科、一般外科
- 認定医/専門医
- 日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医、日本内視鏡外科学会技術認定医、検診マンモグラフィ読影認定医
- 趣味
- ベガルタ観戦、楽天観戦、妄想
- 一言
- 患者様には「まごころ医療」、後輩には「まごころ指導」を心掛けています
- 半田 和義 (外科医長)
- 出身校
- 岩手医科大学(平成9年卒)
- 専門領域
- 血管外科、血管内治療、一般外科
- 認定医/専門医
- 日本外科学会専門医
- 趣味
- 剣道(4段)、バイク、マラソン
- 一言
- 高齢者に優しい医療を心掛けています
- 佐藤 明史 (外科医長)
- 出身校
- 秋田大学医学部(平成11年卒)
- 専門領域
- 移植外科、一般外科
- 認定医/専門医
- 日本外科学会認定医
- 趣味
- サッカー(play > watch)
- 一言
- 思い込みが強くなり過ぎないように心掛けます
- 河村 圭一郎 (後期研修医)
- 出身校
- 秋田大学医学部(平成18年卒)
- 趣味
- ドライブ、スポーツ観戦
- 一言
- 小さなことからコツコツと

東北地方の腎移植の歴史
東北地方の腎移植の歴史は、昭和40年(1965年)に東北大学第2外科(現在の先進外科学)で行われたのが始まりです。血液透析が更生医療の適応となったのが昭和47年ですから、腎不全医療としての血液透析も腎移植もたいへん困難な時代であったといえます。当院は昭和40年代より腎不全医療に積極的に取り組んでおり、さらに、昭和51年(1976年)より腎移植手術を開始しました。
その後、わが国においても献腎移植の普及を求める声が高まり、全国に順次14ヶ所の地方腎移植センターが整備されましたが、当院は、昭和55年(1980年)に東北6県のセンターとして、国立佐倉病院、名古屋第二赤十字病院に続いて全国で3番目に指定を受け、HLA組織適合性検査体制の整備も含め、東北地方の腎移植の基幹となるべく努力してきました。平成7年(1995年)よりわが国の献腎移植システムは改変されて「日本腎移植ネットワーク」(現在の「日本臓器移植ネットワーク」)が発足し、当院の地方腎移植センターとしての役割は終了しましたが、東北地方で最も多くの献腎移植希望登録者をもつ献腎移植認定病院として、また「組織適合性検査センター」としての機能は現在でも継続しております。
この間、当院外科では積極的に腎移植医療に取り組み,生体腎移植においてはドナー血輸血等の免疫学的寛容を誘導する試みを積極的に行い,献腎移植においては東北大学先進外科とも連携しつつ、症例を積み重ねてきました。
平成19年(2007年)12月末現在、生体腎移植538例、献腎移植102例、計640例の腎移植手術を経験し、親兄弟等血縁者からの移植のみならず、夫婦間生体腎移植や血液型不適合移植にも積極的に取り組んでおり、世界的にも有数の腎移植施設となっております。

外科・移植外科の症例数
■2005年〜2007年 外科手術件数
2005年〜2007年外科手術件数
| − |
2005年 |
2006年 |
2007年 |
| 総手術件数 |
771件 |
812件 |
832件 |
| 全身麻酔 |
624件 |
638件 |
585件 |
| (慢性腎不全) |
314件 |
390件 |
450件 |
■消化器外科手術件数
消化器外科手術件数
| − |
食道 |
胃・十二指腸 |
結腸・直腸 |
肝臓 |
胆道・膵 |
腸閉塞 |
虫垂炎 |
腹膜炎 |
肛門 |
| 2005年 |
悪性 |
1 |
27 |
51 |
21 |
4 |
0 |
0 |
0 |
0 |
| 良性 |
0 |
0 |
15 |
0 |
60 |
12 |
36 |
8 |
6 |
| 鏡視下手術 |
1 |
3 |
11 |
0 |
51 |
0 |
19 |
1 |
0 |
| 2006年 |
悪性 |
1 |
28 |
57 |
14 |
10 |
0 |
0 |
0 |
0 |
| 良性 |
0 |
1 |
18 |
0 |
57 |
4 |
33 |
8 |
6 |
| 鏡視下手術 |
0 |
1 |
13 |
0 |
39 |
1 |
19 |
0 |
0 |
| 2007年 |
悪性 |
1 |
16 |
30 |
3 |
4 |
0 |
0 |
0 |
0 |
| 良性 |
0 |
1 |
17 |
1 |
21 |
12 |
37 |
14 |
5 |
| 鏡視下手術 |
0 |
0 |
5 |
0 |
28 |
0 |
29 |
3 |
0 |
■一般外科手術件数(消化器除く)
一般外科手術件数(消化器除く)
| − |
乳腺 |
甲状腺 |
副甲状腺 |
肺 |
腎 |
副腎 |
ヘルニア |
| 2005年 |
悪性 |
7 |
12 |
0 |
1 |
11 |
0 |
0 |
| 良性 |
5 |
6 |
36 |
10 |
2 |
0 |
94 |
| 鏡視下手術 |
0 |
0 |
0 |
11 |
9 |
0 |
37 |
| 2006年 |
悪性 |
7 |
10 |
0 |
0 |
12 |
0 |
0 |
| 良性 |
2 |
7 |
56 |
7 |
3 |
4 |
95 |
| 鏡視下手術 |
0 |
0 |
1 |
7 |
4 |
2 |
29 |
| 2007年 |
悪性 |
5 |
7 |
0 |
1 |
14 |
0 |
0 |
| 良性 |
6 |
5 |
93 |
4 |
3 |
0 |
78 |
| 鏡視下手術 |
0 |
0 |
0 |
5 |
3 |
0 |
31 |
■移植外科手術件数
移植外科手術件数
| − |
生体腎移植 |
献腎移植 |
計 |
| 1998年 |
30 |
2 |
32 |
| 1999年 |
28 |
5 |
33 |
| 2000年 |
19 |
1 |
20 |
| 2001年 |
7 |
1 |
8 |
| 2002年 |
17 |
1 |
18 |
| 2003年 |
9 |
1 |
10 |
| 2004年 |
15 |
2 |
17 |
| 2005年 |
15 |
1 |
16 |
| 2006年 |
19 |
4 |
23 |
| 2007年 |
28 |
1 |
29 |
■血管外科手術件数
血管外科手術件数
| − |
腹部大動脈瘤 |
閉塞性動脈硬化 |
塞栓血栓摘出 |
下肢静脈瘤 |
内シャント形成 |
その他 |
| 2005年 |
15 |
46 |
12 |
15 |
96 |
22 |
| 2006年 |
13 |
40 |
7 |
6 |
105 |
10 |
| 2007年 |
15 |
80 |
21 |
13 |
111 |
17 |
